今年一番の出来事

今日会った店員さんのうち、ひとりは女性。
なおそのお店というのは、以前アロマの話で紹介した、生活の木
アロマオイルはもちろんのこと、
ハーブティーボディーケア商品なども扱っている。
 
その店員さんとは、お久しぶりです、との軽い挨拶から始まり、おしゃべりを少々。
すると話の中で、店員さんが風邪気味であることが分かった。
さらに風邪に効くハーブティーが、お店には置いてあることも。
 
そこで、ふとあるアイディアが思いついた。
それは、店員さんにそのハーブティーをプレゼントしようというものだ。
我ながら、そんな気の利いたことが浮かんだのはうれしかった。
 
だが、そこでひとつ心配事も浮かんだ。
それは、異性同士ということで変な誤解を招かないかということ。
普通に考えれば、裏があってもおかしくないと思われることだけに、
かえって嫌な思いをさせてはいけないと思ったのである。
さらには、このことがきっかけで、
大切な知り合い(と一方的に思っている)を失くしたくなかったのである。
 
「そういえば、左手の薬指に指輪をしてたよな…。
 ということは結婚してるのでは?
 少々失礼だが、そのことを確かめてみよう。
 そうすれば、下手な誤解は避けられるはず。
 少なくとも恋人はいるはずだ。」
 
そう思い、聞いてみた。
なぜかすんなり聞けた。
すると幸いにも結婚しているとのこと。
これで下手な誤解はないだろう、と一安心。
そしてさっそくハーブティーを購入。
もちろん、店員さんにプレゼントすることなどみじんも出さず。
さらにせっかくなので、プレゼント用に包んでもらうことにした。
丁寧に包んでもらう姿を見ていたら、
それだけで早くプレゼントしたくなってしまった。
ちょうどエスカレーターのところまで見送ってくれるとのことだったので、
他の店員さんの目が届かないところへ。
というのも、下手に他の店員さんに見つかってしまい
えこひいきされているといじめられてしまったら申し訳ないから。
 
大丈夫そうなところまで行き、少しばかりお話を。
今年お世話になったお礼などをいう。
そしてなにげなく商品を受け取る。
受け取るなり、すぐにさりげなく商品を差し出し、
 
「早く風邪を治してくださいね。」
 
一瞬、店員さんは戸惑った顔をしたが、
すぐに、悪いですよ、と遠慮。
でも、そこでお世話になったことなどを話し、無事受け取ってもらう。
店員さんの顔にも笑顔が浮かんだ。
そしておそらく、僕の顔にも。
 
さっきも話したとおり、
心と心の通い合いができた瞬間だった。
たまらなかった。
さらには、そんな素敵なアイディアが浮かぶほど心のゆとりができてきた
自分がうれしかった。
おそらくは、今年一番の出来事であろだろう。
 
 
気が付けば、家の中はすっかり静まり返っている。
あのお店で買ったアロマの香りが部屋中に漂う、
そんな年の瀬の夜である。